旅順開城約成て 敵之將軍Стессель
乃木大將と會見之 所は何處水師營
庭に一本棗之木 彈丸跡も着るく
崩殘れる民屋に 今ぞ相見る二將軍
乃木將軍は嚴かに 御惠深き大君之
大詔傳うれば 彼畏て謝し奉
昨日之敵は今日之友 語る辭も打解て
我は讚へつ彼之防備 彼は讚へつ我が武勇
形正て言ひ出でぬ 「此方面之戰鬭に
二子を失ひ給ひつる 閣下之心如何にぞ」と
「二人之我子其々に 死所を得たるを喜べり
此ぞ武門之面目」と 大將答へ力有
兩將晝餉共にして なほも盡きせぬ物語
「我に愛する良馬有 今日之紀念に獻ずべし」
「厚意謝するに餘有 軍之法に從ひて
他日我手に受領せば 長く勞り養はん」
「さらば」と握手懇ろに 別て行くや右左
砲音絶し砲台に 閃立り日之御旗